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登場キャラクター秘話 ⑫ タヌマ マサカズ

カテゴリ:ニュース ,藍色少年少女

【 タヌマ・マサカズ 】

“ とりあえずこのダメな俺をけなしてくれっ! ”

 

「ミチル」と並び、『藍色少年少女』の大人側の主人公とも言える「タヌマ・マサカズ」を演じるは、俳優・前川正行さん。私の監督した短編『EVERY TIME WE SAY GOODBYE』(2014年)でも主人公を、「タヌマ」と同様に人間臭く、そして人の持つおかしみ滲み出る演技をされています。この「タヌマ」という人物もまた、前川さんにしか演じられなかったものでしょう。

 

「タヌマ」は本作内で「テツオ」も口にしたように、モチーフである原作『幸せの青い鳥』でチルチルとミチルの旅に同行する仲間「パンの精」から来ています。「パンの精」はチルチル・ミチルを全力で手伝う存在でもあった事から、「タヌマ」は「テツオ」や「シチカ」、子供達に一番近い場所に配置し、相互に協力しあう関係としました。

「タヌマ」はアーティストです。戦前、戦中から芸術家達が疎開してきて出来た町で、今尚多くの芸術家が住む場所という事もあり、本作には多くのアーティストを出そうと私は早い段階で考えていました。それは撮影場所の事柄も関係はしていましたが、理由の多くは私もまた「映像作家」というアーティストだったからでしょう。アート、芸術とは答えの無いものです。評価を手にする、ましてやアーティストとして生活していくという事は容易な事ではありません。世間の様々な要素が芸術家の味方、武器となり、同時に敵、恐怖ともなります。それでもやめられない。芸術とはある意味「呪い」の様なものかもしれません。役者という職業もまたアーティスト。「タヌマ」を演じた前川さんともアーティストという存在のアレコレを語り合いました。「タヌマ」という存在は何かを生み出そうとする者すべての苦悩の塊であり、姿の一端です。私はそんな答え無き茨の道を進む者達へエールを送りたかったのでしょう。それは私自身に対しても、だったと思います。

 

最後に。前川さんが「タヌマ」を演じる事になったのはシナハンからでした。不意に出会った見事な吊り橋から見下ろした川岸にて、「お金がないからあそこで身体を洗っている芸術家の男とか面白いかも?それが似会うのは…前川さん!?」と僕や結城さん、ミゾモトさんとで思い付いた事がきっかけでした。恐ろしいくらい、その時も『藍色少年少女』の奇縁の歯車は見事に動いていました。その吊り橋の名は「前川橋」でした(実話)。

タヌマ

タヌマ

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