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登場キャラクター秘話 ④ ヒロキ & ヨーイチ & ブンタロー
【 ヒロキ&ヨーイチ&ブンタロー 】
テツオの友人「ヒロキ」、悪友「ヨーイチ」「ブンタロー」は皆、ふじのキッズシアターに所属しており、みんな元気すぎて普段と映画の違いは全くありませんでした。彼らの笑顔もまた『藍色少年少女』の原動力の一つでした。
イジメられっ子の「ヒロキ」は大塚宙(そら)君が演じています。私が脚本を担当した長編『Bad Moon Rising』(2015年公開)でも人間の触られたくない部分をえぐるという鮮烈な演技を見せてくれています。
『藍色少年少女』の脚本、「ヒロキ」を構想するにあたり、私はふじのキッズシアター関係者にある質問を投げかけました。それは「これまで犯した失敗で、どうしても取り返せないけど、今でも取り返したい想い、経験」でした。頂いた数々の言葉からそれらは『藍色少年少女』のテーマ根幹ともなりましたが、それを体現させるキャラとして「ヒロキ」を置きました。
「ヒロキ」は一番私達に近い人間かもしれません。分別はあり、聡明。でも強いモノ、怖い事柄には従い、寄り添って危険を避けていく。それらを否定する事はできません。私達はとても弱い。「テツオ」もまた「ヒロキ」を救えず苦悩しますが、それはある方からの言葉がきっかけでした。「ある幼い日、友人を裏切ってしまった。救えなかった。取り返しはつかないけど、でも今でも謝りたい」という内容でした。私はこの言葉から、映画の中だけでもその想いを叶えてあげたいと思えました。だからこそ人間としての強さを持つ「テツオ」に、「ヒロキ」を救わせようと。
「ヨーイチ」を後藤麦輔君、「ブンタロー」を佐藤優憲君が演じています。「ヨーイチ」も私の脚本ではよく登場するキャラ名です。元々は「那須与一」から来ています。どの作品でも聡明で明解、カラッとした性格です。だからと言って冷たい訳じゃなく、力を貸す時は惜しまない。ある意味スマートで欧米人的なスタンスで、「テツオ」の日本人的優しさとはまた別の優しさを持つ良き相棒キャラです。戦隊モノで言えば「ヨーイチ」はブルーの位置です。
「ブンタロー」はまさに戦隊モノのイエローとして置きました。元々は私の実際の悪友「文太郎」君から頂きました。文太郎君本人は野生児のような人間で、川遊びから泥遊び、モデルガン、四輪バイク、子供の頃特有の動物や昆虫イジメ、果ては妹を面白半分で泣かせるような激しい一面と、それでも友人には屈託ない優しさを見せる人間でした。演じた佐藤優憲君は私の悪友とは全く異なり、大人しい子ではありましたが、周囲に染まらない特別な強さは似ていました。映画内でも「ブンタロー」は周囲を気遣ってか、それともただの気まぐれか分からない内容とタイミングで皆を笑わせてくれますが、それは優憲君とも文太郎君とも同じものでした。